(1) 「害虫防除の常識」に、「農業と外来生物法とのかかわり」について解説しました。農作物に被害を及ぼす外来動物としては、アライグマやヌートリアなどの脊椎動物がその中心となります(第9表参照)。セイヨウオオマルハナバチは、トマトの授粉ではなくてはならない花粉媒介虫ですが、生態系に影響する怖れがあるということで、「特定外来生物」に指定されました。このため、農家がこのハチを使用する場合には、使用許可を事前に環境大臣から得ることと、逃亡防止用のネットを栽培施設に張ることが義務づけられ、違反した場合には、厳しい罰則(罰金、懲役)が課せられますので、くれぐれも注意して下さい。
(第9表)
(2) 「本の紹介」で、冨田きよむ(2001)の「やらなきゃ損する インターネット産直」を取り上げました。以前に、「インターネット産直を考える」という記事を掲載し、その時にも、冨田さんの本の内容を踏まえて書きましたので、今回の「本の紹介」と併せて読んでいただくとよろしいかと思います。農家は、ホームページを作って公開しさえすれば、全国の消費者がホームページを見て、どんどん注文が増えるのではないかと勘違いしがちです。それでは、どうしたらよいのかが実際の経験を踏まえて本書で紹介されています。
(インターネット産直を考える)
(3) 「論文の紹介」で、白川勝信(2007)の「地域の自然が博物館 −フィールドミュージアムの活動ー」を取り上げました。この小論文で、著者は豊富な「フィールド活動と結びついた博物館活動」の経験を踏まえて、各地の「(小さな)博物館活動」を紹介し、意見を述べています。筆者は、里山のため池を見て回りながら、あるいは、三重県立博物館のサポーターとして活動をしながら、博物館とフィールドワークとの関係を考えて行くのに、たいへん参考となりました。
(4) 「紀伊半島の巨木を訪ねる」で、三重県御浜町の引作神社の大クスの太い枝の1本が折れたという新聞報道がありました。この巨木については、当ホームページでも紹介していて、三重県随一の巨木であり、紀伊半島でも最も巨大であるとされており、どうなったのか心配しました。
巨木の樹齢が約1500年とされているので、その主枝も相当な年輪を重ねていると思われます。折れた枝を廃棄処分にするのではなく、その主枝を幾つかの輪切りにして、年輪を数え、あるいは年輪幅を詳細に観察して、その地域の気候変動を推定するなど、環境教育に役立て、あるいは町の博物品として保存するなどの方策が考えられます。町役場にメールで提案しましたが、特に返事はありません。